暴力夫からの避難先はどうやって探せばいいですか?
事例
DV夫と別居したいのですが、実家とも折り合いが悪いため、避難できる場所がありません。
どうすれば良いでしょうか。
一時保護の制度を利用できます。
DV被害者の方にとって、最も大切なこと。それは、加害者である暴力夫と物理的に距離をとることです。その理由は、暴力夫から物理的に距離をとることで、身の安全が確保できることはもちろんですが、精神的にも元気になることができるからです。
暴力夫は、暴力の脅威のもとに被害者妻を支配できる環境を作りたがります。そして、知らず知らずのうちに、被害者妻は、精神面が蝕まれてしまうということがよくあるのです。
しかし、暴力夫と物理的に距離をとると言っても、実家と折り合いが悪いなどの理由で、行くアテがない場合は、どうすればよいのでしょうか。
その際に、活用できるのが、一時保護の制度です。
DV防止法によると、被害者及び被害者が同伴する子どもの一時保護は、支援センターの業務とされています。都道府県の行う一時保護は、婦人相談所又は厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとされ、婦人保護施設でも一時保護はできることになっています。婦人保護施設は、売春防止法に基づき、都道府県や社会福祉法人などが設置しています。この施設の設立時の対象者は「売春するおそれのある女子」でしたが、DV防止法により、DV被害者の保護も、当該施設で行うことができる旨が明文化されています。
公的な一時保護施設については、利用料が不要ですが、民間シェルターの場合には、若干の利用料(1泊1500円〜3000円程度)がかかります。
なお、一時保護を利用する場合には、以下の点に注意が必要です。
【注意点】
滞在期間に制限があること
一時保護は、その名前のとおり、一時的なものですから、滞在期間に制限があります。具体的には、2週間から1ヶ月程度です。
この間に、次の転居先や仕事先を確保し、住居を確保する必要があります。
性別、年齢制限がありうること
施設によっては、男児を同伴できない、または中学生以上の男子を入居させることができない等の性別制限、年齢制限がある場合があります。
その場合には、子どもだけを児童相談所に一時保護してもらうか、一緒に避難できる民間シェルターを探す必要があります。
通学制限があること
お子さんが、学生であっても、一時保護中は、学校に通学できなくなります。子どもは嫌がるかもしれませんが、安全確保の徹底から、通学は一時的に諦めざるを得ませんので、子どもにも理解してもらえるように説明することが重要です。
このように、一時保護の利用には、注意点も存在します。特に、期間制限があることは念頭において、できるだけ速やかにDV問題に精通した弁護士を代理人につけ、一時保護施設を出た後も、DV夫に直接の接触をさせない環境づくりが大切です。
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