暴力夫からの面会交流の要請を拒絶できますか?
事例
夫の暴力が原因で離婚しました。子どもは私が育てています。
夫が子どもに会いたいと言ってきていますが、拒めないのでしょうか。
暴力が、子どもに対してもあった場合には、面会交流を拒むことが認められることもありますが、そうでない場合は、拒むのは難しいかもしれません。
家庭裁判所の実務では、非監護親(子と同居していない方の親)と子との面会交流は、基本的に、子の健全な育成に有益なものであるとの認識のもと、面会交流の実施が子の福祉(幸せ)を害するという特段の事情がない限り、面会交流を認める傾向にあります。
では、面会交流の実施が、子の福祉を害するという特段の事情とはどういった事情のことをいうのでしょうか。
この点、同居中にDVがあったからといって、直ちに、面会交流を禁止、制限すべき特段の事情があるとは認められません。
DVにより、子どもが精神的なダメージを受けて、現在もそのダメージから回復できていない場合にはじめて、上記の特段の事情が認められるのです。
監護親(子と同居している親)が、非監護親のDVにより、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症している場合でも、当事者や子の意向、子の年齢、発達段階、心身の状況、親族の協力の有無、第三者機関の利用可能性等により、監護親が非監護親に直接会うことなく面会交流を行いうるのであれば、そういった方法で実現すべきというのが現在の裁判実務の考え方です。
このように、たとえ、暴力夫であっても、子にとって親であることには変わりありませんから、原則として面会交流が実現されるべきであるという裁判実務の考え方を前提に、どうすれば円滑に、子及び監護親にストレスなく面会交流を実現できるかを考えていくことが非常に重要です。
この点、DV問題に精通した弁護士であれば、家庭裁判所の調査官(子についての専門家)と協力するなどして、子と監護親にストレスがかからない形での面会交流の在り方を提案することが可能です。
暴力夫が面会交流を求めてきた場合には、まずは、DV問題に精通した弁護士にご相談ください。
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