モラハラを受け続けると精神崩壊?後遺症は?【弁護士解説】
モラハラを受け続けるとストレスが蓄積され、やがて精神が崩壊する危険があります。
また、心の傷はなかなか癒えず、長年に渡って苦しむ方もいらっしゃいます。
パートナーの言動はモラハラに該当しますか?
モラハラを受け続けると病気になりますか?
モラハラで後遺症が残ることもありますか?
当事務所の離婚事件チームには、このようなモラハラに関することついて、多くのご相談が寄せられています。
モラハラ被害には、共通した傾向が見受けられます。
モラハラを受け続けた場合に想定される問題と対策について、モラハラに精通した弁護士が解説いたします。
モラハラとは
モラハラとは、モラル・ハラスメントの略であり、精神的暴力、分かりやすく言えば、「嫌がらせ」のことです。
例えば、夫が妻に対して、「お前は価値のない人間だ。」などと人格を否定したり、「何をやってもダメな奴だ。」などと侮辱しきった態度で接したりすることが典型例です。
モラハラは、殴る、蹴る等の身体的暴力と比べると分かりにくいものです。
身体的暴力の場合、病院へ行けばどの怪我の内容(傷病名)がわかります。また、治癒するまでのどの程度の期間が必要かもわかります。
しかし、モラハラの場合は、心の傷を目で見て確認することはできません。
また、精神疾患にかかっているのか、治療方法や治療の期間も断定することは難しいという特徴があります。
そもそも、モラハラの被害を受けていることについて、自覚されていない方も大勢いらっしゃいます。
さらに、モラハラについて、世間の認識は決して高くありません。
夫婦間のモラハラの場合、周囲に相談しても、「それぐらい我慢したら?」「あなたの方に落ち度があったのでは?」などと言われて終わることが多くあります。
このような状況のため、モラハラは被害者の方も気づいていないうちに、徐々に精神を崩壊させていく可能性があります。
モラハラについて、くわしくはこちらのページをごらんください。
モラハラでどのような症状がでる?
初期症状としては、ストレスによる、イライラ感、倦怠感、無力感、不眠、食欲不振などが現れます。
モラハラ被害を受けている時の極度の緊張状態がこれらを引き起こします。
症状が進行すると、抑うつ状態になります。
「自分は価値のない人間だ。」「自分がすべて悪い。」「社会に適合できない人間だ。」などと思うようになって、何をする気も起きない(無気力状態)、何をしても楽しいと思えなくない、何に対しても興味がないといった状態になっていきます。
さらに悪化すると、うつ病になり、被害者の心は修復不可能なまでに破壊されます。最悪の場合、自殺に至ってしまうケースもあります。
また、モラハラを受けたことにより、モラハラ状態が解消されたとしても、その傷跡が残ることにより、心的外傷ストレスなどの重大な後遺症を遺すこともあります。
このように、モラハラを受け続けることによる、心身への影響は計り知れないものです。
そのため、モラハラ被害を受けている方は、別居をして加害者と離れるなどの方法で、その状態を一刻も早く脱することが必要になります。
とはいえ、モラハラは気付きにくいものです。
モラハラ被害を受けている方は、自分が悪い、こんな事で思い悩む自分が恥ずかしいと思って、自分を責める日々を過ごしています。
そして、後々になって、実はあの時の自分はモラハラを受けていたのだと気付くことも多いです。
モラハラで深刻な状況とならないために
上記のようなモラハラの問題点を踏まえて、深刻な状況とならないための3つのポイントをご紹介します。
早く専門家に相談すること
モラハラは紛れもない暴力です。
しかも、その暴力は、被害者の生命を脅かす可能性すらある悪質なものです。
しかしながら、モラハラは目に見えないこと、モラハラに対する世間の意識が高くないことから、周りに相談しても、適切な解決に導くことができない可能性があります。
モラハラ被害者の方がまず行わなければならないことは、「モラハラに精通した専門家に相談すること」です。
専門家に相談することで、具体的な状況を踏まえた助言を得られる可能性が高いと思われます。
また、モラハラに対する理解がある人に相談すれば、その人はきっと共感してくれるので、心が軽くなると思います。
モラハラ加害者と距離を置くこと
また、比較的軽度のものであっても、モラハラ被害者の方は苦しく、つらい思いをされていることでしょう。
モラハラ事案において、大切なことは加害者と別居して距離をおくことです。
モラハラ加害者は被害者を「攻撃することに依存」しています。
モラハラ加害者は、被害者に対して、言葉の暴力を浴びせることで、自分の心身のバランスを保っているのです。
依存症といっても過言ではありません。
例えば、アルコールに依存している患者の治療で大切なのは、依存している対象であるアルコールを患者から遠ざけることです。
モラハラも同様に、依存の対象である被害者と物理的な距離をおかなければ改善する可能性は低いと思いわれます。
なお、モラハラの別居のサポートについてはこちらのページもご覧ください。
第三者に窓口となってもらうこと
モラハラは、被害者が加害者と距離をおく必要があります。
また、被害者の方は、加害者に対する恐怖心から、直接、話し合うことが難しい状況です。
もし、話し合えたとしても、お互い感情的になってしまい、冷静に話し合うことができない可能性もあります。
このような場合、相手との交渉を第三者に行ってもらうことを検討しましょう。
第三者としては、お互いの両親や共通の知人などがあげられます。
また、弁護士に相手との交渉を依頼するということも検討しましょう。
弁護士は、代理権があるので交渉できるというメリットがあります。
その他、法律の専門家ですので、法的なアドバイスを受けることも可能です。
まとめ
以上、モラハラを受け続けた場合の症状と対策について解説しましたがいかがだったでしょうか?
モラハラは悪質な言葉の暴力であり、最悪の場合は命にかかわることもあります。
また、モラハラ被害は深刻なため、早期に手を打つことが必要です。
一般的な注意点等について解説しましたが、具体的に、どのような対応を行うべきかは、モラハラの内容や被害者の方の置かれた環境で異なります。
そのため、モラハラに精通した専門家のサポートを受けて進めていかれることをおすすめしています。
当事務所の離婚事件チームは、DVやモラハラ問題を強力にサポートしています。
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