モラハラ夫と別居後、自宅に荷物を取りに行ってもよい?
別居中の荷物の引取りは、法的にモラハラ夫の承諾がない限り、難しい問題をはらんでいますので、慎重な判断が必要です。
この問題について、モラハラ夫との離婚に詳しい弁護士が解説します。
法的な問題
モラハラ夫から別居した後に、妻が荷物を引き取りにいくというのは、実は、法的には難しい問題をはらんでいます。
というのも、離婚を前提に別居してしまうと、住居権があなたにはないということになってしまうので、法的には、刑法130条の住居侵入罪に該当する可能性がでてきてしまうからです。
したがって、モラハラ夫の承諾を得てから、立ち入ることが望ましいのですが、モラハラ夫の承諾が得られることは少ないでしょう。
弁護士を介しての交渉
弁護士をつけたうえで、弁護士からモラハラ夫に一定時間の立ち入りを承諾してもらうようお願いをするということは、よく行います。
夫側にも弁護士がついていれば、双方の弁護士が荷物の持ち出しに立ち合うということを行うこともあります。
しかし、その場合も、承諾を得られる蓋然性は高まるものの、確実とは言えないのが実際のところです。
その場合には、例えば、搬出したい物をリスト化したうえで、着払いで送ってもらうよう要請するなどで対処しています。
このように、一度別居してしまうと、荷物の持ち出しのために、自宅に立ち入ることは、刑法上の住居侵入罪にあたりうる可能性があるため、相手方の承諾を得る必要があるが、承諾を得るために100%確実な方法はないということはおさえておく必要があります。
荷物を持ち出す際の事前準備
現在、別居準備中という方は、上記の点を重々理解されたうえで、荷物の持ち出しについて、周到な事前準備を行うことをおすすめします。
モラハラ夫との別居の際は、忘れ物がないように持ち出す物をチェックリスト化することも有効でしょう。
なお、冒頭で、刑法上の住居侵入罪に該当しうる旨を指摘しましたが、正当な理由に基づく立ち入りと主張できる範囲であれば、それが警察や検察において、法律上大きく問題視されることはないと思われます。
どうしても必要な荷物を取りに行く必要があり、相手方が承諾してくれないという場合には、不当な目的での立ち入りなどとモラハラ夫に難癖をつけられないために、事前に取りに行くもののリストを示したりしておくと良いでしょう。
これは弊所弁護士の私見ですが、一般人であれば承諾すべきケースで、感情的な理由からモラハラ夫が立ち入りを拒んでいるなどの場合には、たとえ、相手方の承諾が得られなくとも、正当な理由に基づく立ち入りとして、刑法上の住居侵入罪に該当しないといえるのではないでしょうか。
ともあれ、相手方がモラハラ夫の場合、別居の事前準備は非常に重要です。
ぬかりがないものにするために、専門家であるモラハラ問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。
当事務所は、単に離婚等の交渉だけではなく、まずは別居するためのサポート・プランをご用意しています。
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