刑事事件の裁判で、DV夫に慰謝料請求できますか?

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

 

泣く女性のイラスト夫のDVにより大怪我をして入院をする事態となり配偶者保護命令が認容されました。

夫がこのDVを原因として、傷害罪で起訴されています。

夫の刑事事件の裁判を利用して、私が夫に慰謝料を請求する方法はないのでしょうか?

 

裁判所のイラスト刑事事件の被害者参加制度・損害賠償命令制度の利用が考えられます。

今回のケースのようなDV事件においては、離婚条件をまとめる際に、傷害の原因や慰謝料の金額が争点となる場合があります。

そのような場合には、双方離婚の意思が固くとも、条件の合意ができず調停や裁判となる可能性があります。

DVのイメージイラストそこで、夫のDVによる怪我が原因で傷害事件となり、起訴されて刑事裁判となったときには、被害者参加制度の損害賠償命令制度において慰謝料の損害賠償を求めるという方法が考えられます。

もっとも、ここでの損害賠償の金額については、起訴された事件のみに限定されるため、その他の事情についても離婚に関して慰謝料等の金銭的請求を行いたい場合には、離婚協議、離婚調停や離婚裁判で請求するのが相応しいでしょう。

被害者参加制度における損害賠償命令

裁判のイラスト刑事事件には、殺人、傷害等の一定の被害者が、裁判所の許可を得て被害者参加人として刑事裁判に参加する制度があります。

被害者参加人として参加すると、情状に関する事項について直接証人に尋問したり、事実又は法律の適用について意見を述べることなどが可能となる場合があります。

被害者参加制度における損害賠償命令制度とは、上述の刑事事件が地方裁判所に継続している場合に、その刑事事件を担当している裁判所が、判決が出た後、引き続き犯罪被害者等による損害賠償(民事上の請求)についても刑事損害賠償命令事件として審理する制度です。

裁判のイメージイラストすなわち、被害者参加制度で参加が認められた被害者は、地方裁判所において、刑事事件で有罪の判決が出た場合、刑事事件の記録に基づいて、その事件での損害賠償の請求が可能となります。

刑事損害賠償命令事件は、有罪判決後、原則として4回以内の審理期日を経て審理が集結した上で「決定」がされます。

裁判所の決定に不服がある場合には、異議の申立てにより通常の民事訴訟手続に移行することになります。

この制度では刑事事件で認定された事実や結論に基づいて損害賠償に関する裁判所の判断がでるため、別途、その事件について民事訴訟で争うよりも被害事実の立証が容易かつ短期間で済み、簡便な手続であるといえるでしょう。

解説する弁護士のイメージイラストDVが原因で傷害事件となっている方、DVでお悩みの方はお早めに弁護士までご相談ください。

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