⑥刑事告訴等を要する場合の手続
被害届、告訴状
DVが暴行罪、傷害罪、強姦罪、殺人罪等に該当する場合、刑事罰の対象となります。
この場合、警察署で被害届を出すか、告訴することも可能です。被害届は、警察署で所定の用紙に記入します。
告訴する場合、告訴状を作成して警察署へ持っていくのが通常です。
法律的には口頭でも可能ですが、告訴する場合は、弁護士に告訴状の作成と提出を依頼されたほうがよいでしょう。
なお、DVの場合、捜査を進めるかどうかについては、被害者本人の意思を重視しています。
刑罰の見込み
量刑については、事案の内容(脅迫、暴行、傷害、殺人)、加害者の前科の有無等によって異なります。
前科がない加害者による傷害事件では、略式起訴となり罰金ですむ場合もあります。
軽微な暴行事件であれば、起訴猶予といって、起訴されずに終了する場合もあります。
重傷を負わせた傷害事件の場合、正式に起訴されると思いますが、その場合でも、前科がなければ執行猶予付きの刑(服役しない)となる場合もあります。
被害者の方は、刑の軽さに落胆するかもしれませんが、再犯の防止という点では効果があるでしょう。
刑事裁判
刑事裁判は、検察官が原告の役割をするので、被害者の方が毎回裁判所へ行く必要はありません。
しかし、加害者が犯罪事実を否定するような場合、被害者が公判で証言する必要が出てきます。
この際、被害者が怖くて証言できないような場合、遮へい措置(ついたてを置いて証言)を講じたり、ビデオリンク方式(加害者とは別室で証言し、その様子をビデオカメラで撮影し、公判廷のモニター画面で裁判官等が確認する。)を取ることが可能です。
被害者等通知制度
DV被害者は、加害者が起訴されたのか、判決はどうなったのかを確認したい場合、検察から以下の事項について通知してもらうことができます。
- 事件の処分結果
- 裁判を行う裁判所及び裁判が行われる日
- 裁判結果
- 犯人の身柄の状況、起訴事実、不起訴の理由の概要
- 有罪裁判確定後の犯人に関する事項(収容されている刑務所の名称・所在地、刑務所から釈放された年月日等)
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