④DVを原因とする離婚手続
DVがある場合の諸手続
DVが理由で相手と離婚したいという場合、親権、養育費、婚姻費用、慰謝料、財産分与、年金分割等を検討し、交渉や調停等の必要な手続きを進めていきます。
これらについて、詳細は当事務所の離婚ホームページをごらんください。
DV事案が他の離婚事件と異なるのは、安全確保の要請が大きいという点です。
離婚手続きにおいて、被害者の方の安全を確保するための方策について、ご説明します。
裁判所への提出書類
保護命令の申立書はもちろん、調停申立書等、裁判所へ文書を提出する際、加害者が読むということを念頭に置かなければなりません。
調停申立書
平成25年1月1日施行の家事事件手続法では、調停時の書類について相手方からの閲覧謄写が原則として許可されることとなりました。
そのため、調停申立書の記載内容から、被害者の避難先が推測されないように細心の注意を払うことが必要となります。
例えば、「長男は現在、博多小学校に通っている」などと記載すると、博多に居住していることが分かってしまいます。
証拠書類等
被害者(代理人弁護士)が、DVの事実の証拠として、診断書、写真等を提出することが多くあります。
しかし、この場合、診断書の記載から病院名、医師名、居所が判明します。また、写真の背景から、撮影場所が判明することが考えられます。
また、親権を主張する場合に、子どもの通知票、年金分割を請求する場合には年金分割のための情報通知書を提出します。
しかし、通知票からは子どもが通っている小学校名、年金分割のための情報通知書からは、発行元の年金事務所の名前が判明します。
したがって、これらの書類を提出する場合、居場所を推測される情報の部分を黒塗りする等して提出することがポイントとなります。
なお、年金分割のための情報通知書については、取得する際、「住所を秘匿している」と伝えれば、年金事務所名等を記載しないで発行してくれます。
裁判所内での注意点
調停の場合
調停は、原則として本人出頭主義が取られています。
そして、通常、「申立人待合室」(福岡家庭裁判所4階)で待機することとなります。しかし、この場合、加害者は被害者の待機場所がわかります。
そこで、当事務所では、担当書記官に事情を説明し、別の階の部屋等で待機させてもらえるよう調整しています。
また、最寄りの安全な場所で被害者と代理人が待ち合わせして一緒に裁判所へ行く、調停が終わる際には、被害者の方が相手方よりも先に帰るよう配慮してもらう、等の調整を行なっています。
さらに、当事務所では、相手方の追跡が執拗な場合、安全のため、弁護士だけが出頭し、依頼者には電話で連絡を取るようにすることもあります。
訴訟の場合
訴訟の場合、通常は弁護士しか出廷しません。そのため、加害者からのDVはほとんど心配ないといえるでしょう。
もっとも、当事者尋問の場合、被害者本人も出頭が求められます。
その場合、当事務所では、被害者を別の待合室で待機させたり、加害者と遭遇しないようなルートで待機室に誘導したりしています。
また、尋問に際し、加害者の前では、緊張のあまり証言できないような場合、遮へい措置やビデオリンク方式を裁判所へ上申するようにしています。
DV事件のポイントについてはこちら
■①相談受付・受任段階 |
■②安全の確保 |
■③保護命令の申立 |
■④DVを原因とする離婚手続 |
■⑤子どもがいる場合の諸手続 |
■⑥刑事告訴を要する場合の手続 |