モラハラ夫から黙って別居しても罪にはならないのですか?
罪にはなりませんし、法的に不利にもなりません。
この点について、弁護士が解説いたします。
モラハラ夫への対処法としては、別居が有効です。
そして、モラハラ夫は、あなたが冷静に別居の話合いをできる相手ではありませんから、多くの場合は、黙って別居を断行することになると思います。
となると、そのような形でモラハラ夫に黙って家を出ても、法的に何か問題はないのでしょうか。
これが、今回のテーマです。
結論からいうと、法的には何の問題もありません。
犯罪にあたらないことはもちろん、民法上、離婚に際して不利益に扱われることはありませんので、安心してください。
ただし、モラハラ夫は、時として、「夫婦には民法上の同居義務がある。別居することを考えたら、それは法律を破ることになるからな。」「自分の承諾なく別居したりしたら、民法上の『悪意の遺棄』にあたるから慰謝料を請求してやるからな。」などと脅してくることがあります。
そのようなモラハラ夫の主張は、まず、とおりません。
同居義務について
民法上の同居義務ですが、確かに、民法752条は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と規定しています。
これが、同居義務の根拠です。
しかし、同居義務というのは、あくまでも正当な理由がない別居を禁じているという程度の意味合いしかありません。
そして、モラハラ夫から逃れることは、立派な正当な理由になります。
悪意の遺棄について
また、『悪意の遺棄』も同様です。民法770条1項2号は、離婚事由として、「配偶者から悪意で遺棄されたとき。」をあげていますし、一方的な悪意の遺棄は、場合によっては、慰謝料発生事由になります。
しかし、モラハラ夫から逃れるための別居は、正当な理由がある別居ですから、『悪意の遺棄』にはあたりません。
このように、モラハラ夫は、民法の知識を悪用し、「法的に自分が正しくお前が間違っている」という理屈をとることが少なくありません。
モラハラ夫は、自己が悪いことを行っているという意識がほとんどない人が多いのが特徴ですから、場合によっては、本気でそう思い込んでいることもあるようです。
しかし、そのような理屈は、裁判所ではとおることはありませんので、安心してください。
モラハラ夫から、法律上の同居義務や悪意の遺棄の話をされた場合には、すぐに、モラハラ問題に詳しい弁護士に相談し、それが、本当に同居義務違反や悪意の遺棄に該当するのか助言をもらいましょう。
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