保護命令により暴力夫を自宅から退去させることに成功した事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

ご相談者Sさん (福岡市東区)
40代女性
職業:会社員
世帯年収:800万円
婚姻期間:8年
解決までの期間:1年
解決方法:調停離婚
子どもあり (7歳男の子)
離婚を切り出した

相手:50代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 増額利益
保護命令 ①一時退去
②本人,本人の親兄弟,
子に対する接近禁止
500万円
親権 争いあり
養育費 月額4万円 月額4万円 月額4万円

 

状況

Sさんは、約8年前に夫と結婚し、長男を出産しました。

Sさん夫婦は、交際当初から頻繁に喧嘩をしており、時には夫からSさんに対する暴力もありました。

Sさんは、そんな暴力夫と結婚するか否か悩んでいましたが、長男を授かったこともあり、夫も子が生まれることを契機に変わってくれるだろうと信じて夫と結婚することを決意しました。

結婚後、夫婦関係が円満な時期もありましたが、やはり夫婦の喧嘩がなくなることはありませんでした。

それどころか、夫からSさんに対する暴力は年々ひどくなっていき、顔が腫れあがるほど殴られたこともありました。

それでも、Sさんは、子どものために数年間は夫の暴力を我慢してきました。

しかしながら、夫は、夫がSさんに対し暴力を振るうのは、Sさんに問題があるからだといって、Sさんに対し、Sさんの責任を認めるような文書を作成するよう強要してきました。

Sさんは、夫からの暴力の我慢の限界に達しており、また夫から求められる文書に署名をしたら今後どのような目にあわされるかわからないと思い、夫との離婚を決意して長男を連れて夫との別居を開始し、当事務所の弁護士に交渉を依頼されました。

 

弁護士の関わり

弁護士は、すぐに保護命令の申立ての準備にとりかかりました。

保護命令申立ての事前準備として、まずは、相手方の作成した文書や診断書の取得等の証拠収集に関する指示をしました。

また、保護命令を申し立てるためには、事前に、警察の生活安全課や配偶者暴力相談支援センター等に夫からの暴力に関する相談をしておく必要がありましたので、それら施設に相談に行くよう指示しました。

※警察の生活安全課に相談すると「配偶者からの暴力相談等対応票」という書式に相談内容が記録されることが多いようです。

配偶者の子に対する接近禁止を求める際には、事前に子に関する相談もしておく必要がありますのでご注意ください。

書式についてはこちら「DV関連書式集」をご覧ください。

保護命令の内容については、自宅からの一時退去や、本人や子への接近禁止等いくつかの種類があります。

Sさんの場合は、別居後、子どもとホテルを転々とする生活を送っており衣服等の必要な荷物もほとんど持ち出せていなかったため、夫に自宅からの一時退去を求める必要がありました。

また、夫は、子はもちろんのこと、Sさんのご両親や兄弟に接触する可能性がありました。

そのため、保護命令の申立ての際には、自宅からの一時退去やSさん本人への接近禁止だけではなく、子やSさんのご家族に対する接近禁止命令もつけてもらうような申し立てをしました。

その結果、①夫が2ヶ月間自宅から退去すること、②夫が6ヶ月間Sさんの勤務地や居住地に接近しないこと、③夫が6ヶ月間子の就学先や居住地に接近しないこと、④夫が6ヶ月間Sさんの親兄弟の勤務先や居住地や接近しないこと等の保護命令が発令されました。

 

補足

本件は、最後の大きな暴力から保護命令の申立てまで約2ヶ月の空白期間があり、保護命令の要件となる「今後も暴力を加えられ生命又は身体に重大な危害をうけるおそれが大きいとき」といえるかという点で難しい問題がある事案でした。

この点については、これまでの暴力の経過や別居の経緯等を詳細にまとめることで、裁判所に、Sさんが今後も暴力を受けるおそれが大きいと判断してもらえたのではないかと思います。

保護命令を申立てるような事案は、基本的に緊急性の高い事案が多く、また実際に保護命令を申し立てる際には事前準備も重要となります。

 

そのため、配偶者からの暴力に悩まれている方は、まずは一度専門家である弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか?

保護命令について、詳しくはこちら「保護命令とはどのようなものですか?」をごらんください。

この事例の親権に関する説明は、こちらをごらんください。

この事例の養育費に関する説明は、こちらをごらんください。